Monday, April 16, 2012

文革と信仰の喪失


 「大地の子」のエピソード9の中で、一心はお母さんと妹の位牌に線香を供えるため、松本家に訪ねていった。父子二人は仏壇の前で、昔の話をしながら、色々なことを思い出した。日本では仏壇、あるいは神棚を祀る家は今でも多いそうだが、中国ではもう殆どこういう習慣がなくなってしまった。なぜかというと、位牌や仏像を封建社会の遺物、つまり、迷信だと思う人が多いからだ。この考え方を生んだ原因はまた文化大革命だ。文化大革命は文化と伝統を破壊しただけではなくて、宗教も徹底否定した。文革で、多くの教会や寺院などの宗教的な文化財が破壊された。特に、チベットでは仏像が溶かされたり僧侶が殺害されたりした。私はチベットにあるタシルンポ寺に行ったことがあるが、そこは歴代のパンチェンラマの遺体を納める霊塔(れいとう)が奉ってある。何人かを奉った物も一人だけを奉った物もある。なぜ一つの霊塔には何人のパンチェンラマの遺体を納めてあるかというと、文革で紅衛兵は5代から9代までのパンチェンラマの霊塔を破壊し、その中の遺体も取り出し、近くの川に流してしまったからだ。パンチェンラマはチベット仏教においてダライラマに次ぐ高位の精神的指導者だが、パンチェンラマの遺体を破壊されるのはチベット仏教の教徒にとっては最大の恥で、耐え難い行動だ。したがって、チベットは50年代以来中国政府からたくさんの経済支援をもらったのに、まだ共産党に憎しみを抱き続けている。今中国の憲法には「公民は宗教信仰の自由を持つ」と規定されているが、歴史の繰り返しを恐れるため、まだ自分の宗教を隠す人が多い。うちもキリスト教の家庭だが、戸籍簿では「信仰なし」と書いている。また、文革のせいで、信仰心を完全に失った中国人も多い。日本人や韓国人と違って、中国人は死後の世界を信じる人が少数だ。したがって、ただ現在の享楽を大切にして、悪行をしてもその結果を考えない人が多い。評論家の石平が言ったように、文革のせいで、中国は「世界で屈指の拝金主義が跋扈するようになった」。
          (紅衛兵は北京天主堂の書籍を焼却していた

3 comments:

  1. また文化大革命の問題ですね。私のある親戚はキリスト教徒でした。文化大革命の時自殺してしまいました。彼女の主人は彼女のためにキリスト教徒になったが、彼女の死に刺激された後カナダに移民してしまいました。宗教を徹底否定することは大変です。心理的な平和を得るのはどれぐらいの経済的な豊富さもできないことだと思います。今の中国社会は拝金主義が驚いたほどに流行してきました。私は心配しています。

    ReplyDelete
  2. 私は「多くの教会や寺院などの宗教的な文化財が破壊された」という部分でびっくりしました。韓国にとって中国は「自分の文化財を凄く大事に思い文化財の管理と保存のために努力する国」というイメージです。例えば、たまに韓国のインターネットに中国の文化財を外国へ持ち出そうとした中国人が発覚され処刑されたというニュースが掲載されると、「やはり中国は文化財を大事にする国、韓国もこのような態度を見習わなきゃ」という反応です。文化大革命の時クラシック音楽が弾圧されバイオリンのような西洋の楽器が全部焼却されたというのは聞いたことがありますが、自国の文化財まで宗教的だという理由で破壊されたのは本当に意外です。当時破壊された文化財はどうなったんですか。復旧もできないぐらい完全に破壊されたのですか。もしそうだったら、凄く悲しいことです。

    ReplyDelete
  3. 中国の広がっている無神論は経済成長とも関係しますね。実は、私の家で仏壇のような祖父と祖母を祀る物があって、小さいの時一年に一回二回その仏壇の前に祭ったり線香をあげたりしました。

    ReplyDelete